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             商標の類似



 目次


 商標の類似とは

 類似判断の要素

   外観類似
   称呼類似
   観念類似

 類似判断の主体

 類似判断の方法

   対比的観察離隔的観察か?
   全体的観察要部観察  
   分離観察
   商標自体の構成による観察使用態様による観察

 ・その他、類似判断の基準


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 ここでは、商標の類似について、商標審査基準(改訂第9版)を参照しながら説明していきます。

商標の類似とは


 商標の類似とは、商標の外観称呼観念のうち、いずれか一つが相紛らわしく、出所の混同を生ずるほどに近似していることをいうと解されています。
 商標の外観称呼観念とは、一体どういうものなのでしょうか?
 ”よくある質問”の ”Q. 登録商標の権利範囲はどのようになるのでしょうか?”の回答において、ご説明したように、私たちは、特定の商標が付された商品を購買し使用し、又はサービス(役務) の提供を受けて気に入った場合に、次に同じ商品を購入、又はサービスの提供を受けようとするとき、その商標を記憶しており、当該商標を手がかりに購入、サービスの提供を受けるのが通例であります。
 商標を視覚に訴えて外観を通じて記憶したり、その商標の文字が示す発音等を通じて称呼によって記憶したり、その商標の文字等が意味する一定の意義、観念を通じて記憶することもあります。従って、商標の類似範囲を検討する際には、上記のような3つの要素が同一又は類似であるか否かを検討することが、原則として重要です。
 したがって、商標の類似の判断要素は、対比される商標の外観称呼観念の3つの要素を基準とします。商標は、文字、図形等であり(商2条1項)、需要者の視覚、聴覚、知覚で認識されて、商標が付された商品等の出所等が判断されます。原則として、これら外観称呼観念の3つの要素について軽重はありません。まず、外観類似称呼類似観念類似について説明します。


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・類似判断の要素


外観類似

 外観類似とは、対比される商標の外観が相紛らわしい事をいいます。例えば、

  「ライオン」と「テイオン」、「理科グラフ」と「理科クラブ」、「CHK」と「GHK」などです。

 一方外観非類似とされた例としては、
 
 「美の友」と「美の母」、「A・R・C」と「R・C・A」、「正三郎」と「正太郎」、「CHEST」と「CHESTER」、「SKF」と「SKI」などです。

 実際に、商標の外観類似について争われた事例については、

事例3|商4条編|判例のご紹介(判例紹介)
事例5|商4条編|判例のご紹介(判例紹介)

をご参照ください。

称呼類似

 称呼類似とは、対比される商標の呼び名、発音が相紛らわしい事を言います。例えば、

 「NHK」と「MHK」、「LYRA」と「ライカ」、「アンチフロン」と「アンチグロン」などです。

観念類似

 観念類似とは、対比される商標の意味内容が相紛らわしい事を言います。例えば、

 「王様」と「KING」、「マダム」と「奥様」などです。但し、辞書等を使わなければ類似と分からないもの、例えば、「椿」と「カメリア」は観念類似ではないとされています。


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類似判断の主体 


 商標の類似判断を行うのは、裁判所又は特許庁となります。具体的に裁判官、審査官、審判官等が、需要者の通常有する注意力を基準に判断します。ここでいう需要者には、最終消費者の他に、取引者も含まれます。
 商標の類比の判断は、商標が使用される商品又は役務の主たる需要者層(例えば、専門家、老人、子供、婦人等の違い)その他商品又は役務の取引の実情を考慮し、需要者の通常有する注意力を基準として、実際には、裁判官、審査官、又は審判官等が判断します。

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類似判断の方法


対比的観察離隔的観察か?

 対比的観察とは、2つの商標を並べてみて、その類比を判断する方法を言います。離隔的観察とは、時と場所を異にした場合に、商標に接する者が、商標を間違えるかどうかという前提にたって観察する方法を言います。
 結論からすれば、隔離的観察を主として、対比的観察を従とします。なぜなら、現実に商品を購入する場合に、商標を見比べて購入するかを決めるものものではなく、過去において異なる場所で購入等した記憶とイメージを手掛かりとするのが通例だからです。
 したがって、このような取引における経験則に基づき、隔離観察を主としてます。

全体的観察要部観察

 対比する商標全体を総合的に観察する全体的観察を前提とする。商標は、商品又は役務の識別標識であって、1個の商標が文字、図形等で組み合わされて構成されていても、全体としては識別標識として一体をなすものであるからです。
 但し、要部観察を併せて行うこともある。要部とは、識別力を有する部分であり、一定の部分が特に需要者の注意を引きやすく、その部分が存在することによって初めてその商標の識別機能が認められることも少なくないからです。
 例えば、「菊正宗」と「桜正宗」の商標の対比の場合には、商品の清酒に商標「正宗」というには慣用商標であるために、「菊」と「桜」が要部となり、これを対比観察すべきです。
 その結果、両商標は非類似と判断されるべきです。

分離観察

 分離観察は、原則として必要ないものの、対比する商標が結合商標の場合では、必要とされる場合があります。
 分離観察は、要部観察を行うために必要でありますが、要部観察には必ずしも分離観察を必要としません。
 例えば、「タイガー」の文字商標と、とらの図形及び「活動」の文字よりなる商標とは、後者のとらの図形と文字との結合商標を全体的に観察すれば、外観称呼観念とも非類似といわざるを得ないでしょう。
 しかしながら、後者のような商標は、その結合が不自然であり不可分とはいえないので、2つの要部があるとすべきであり、それぞれの要部から称呼観念が生じます。
 かかる場合、分離観察を行うことによって、称呼観念において、両商標は類似するものとされています。

・商標自体の構成による観察と使用態様による観察

 原則として、商標自体の構成に基づいて類似判断を行います。
 しかしながら、商標によりその使用の態様が商品等との関係から明らかである場合には、使用の態様を考慮してなされるべきです。
 例えば、指定商品に展開図を表した容器が使用されることが明らかな場合には、展開図が容器に表された場合を念頭に類似を判断します。
 

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・その他、類似判断の基準


 ここでは、審査基準の紹介と補足説明を行います。上記類比判断の要素、基準等と併せて重要です。

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1.商標の類否の判断は、商標の有する外観称呼及び観念のそれぞれの判断要素を総合的に考察しなければならない。
 外観類似称呼類似観念類似については、上記説明を参照ください。

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2.商標の類否の判断は、商標が使用される商品又は役務の主たる需要者層(例えば、専門家、老人、子供、婦人等の違い)その他商品又は役務の取引の実情を考慮し、需要者の通常有する注意力を基準として判断しなければならない。
 なお、商標は取引段階でも機能を発揮するため、需要者には、最終消費者のほか、取引者も含まれることは前述の通りです。

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3.本号に該当する旨の拒絶理由通知において引用した登録商標の商標権者による取引の実情を示す説明書及び証拠の提出が出願人からあったときは、次のとおり取り扱うこととする。

(1) 本号の審査において、引用商標の商標権者による取引の実情を示す説明及び証拠が提出された場合には、取引の実情を把握するための資料の一つとして参酌することができる。
ただし、次の場合を除く。
① 願書に記載された商標が同一又は明らかに類似(注1)し、かつ、願書に記載された指定商品又は指定役務も同一又は明らかに類似(注2)するものである場合。
② 提出された書類が、取引の実情の客観的な説明及び証拠ではなく、単に商標登録出願に係る商標の登録について引用商標の商標権者が承諾している旨を示すものである場合。

(注1)ここでいう商標の「同一又は明らかに類似」とは、例えば、商標法第50条における社会通念上同一と判断される商標、独立して出所表示機能を有する2以上の構成要素において、構成要素中の一が同一と判断される商標、及び、これらに準ずるほど類似していると判断される商標をいう。
(注2)ここでいう指定商品又は指定役務の「同一又は明らかに類似」とは、後記10.ないし12.の基準で掲げる商品・役務に係る類否の比較全項目について、一致する蓋然性が高いと判断されるものをいう。

(2) 上記(1)の取扱いにより提出された引用商標の商標権者による取引の実情を示す説明及び証拠を参酌した結果、本号に該当しないと判断し得るのは、次の場合に限られるものとする。
① 引用商標の指定商品又は指定役務と類似商品・役務審査基準において類似すると推定される指定商品又は指定役務の全てについて、取引の実情の説明及び証拠が提出され、それらを総合的に考察した結果、両者の商標又は指定商品若しくは指定役務が類似しないと判断し得る場合。
② 引用商標の商標権について専用使用権又は通常使用権が設定されている場合にあっては、商標権者、専用使用権者及び通常使用権者の全てについて、取引の実情の説明及び証拠が提出され、それらを総合的に考察した結果、両者の商標又は指定商品若しくは指定役務が類似しないと判断し得る場合。

(注)上記3.の基準は、平成19年4月1日より施行するものとする。

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4.振り仮名を付した文字商標の称呼については、次の例によるものとする。

(イ) 例えば、「紅梅」のような文字については、「ベニウメ」と振り仮名した場合であっても、なお「コウバイ」の自然の称呼をも生ずるものとする。

(ロ) 例えば、「白梅」における「ハクバイ」及び「シラウメ」のように2以上の自然の称呼を有する文字商標は、その一方を振り仮名として付した場合であっても、他の一方の自然の称呼をも生ずるものとする。

(ハ) 例えば、商標「竜田川」に「タツタガワ」のような自然の称呼を振り仮名として付したときは、「リュウデンセン」のような不自然な称呼は、生じないものとする。

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5.結合商標の類否は、その結合の強弱の程度を考慮し、例えば、次のように判断するものとする。ただし、著しく異なった外観称呼又は観念を生ずることが明らかなときは、この限りでない。
(1) 形容詞的文字(商品の品質、原材料等を表示する文字、又は役務の提供の場所、質等を表示する文字)を有する結合商標は、原則として、それが付加結合されていない商標と類似する。

(例) 類似する場合
「スーパーライオン」と「ライオン」
「銀座小判」 と「小 判」
「レデイグリーン」 と「レ デ イ」

(2) 大小のある文字からなる商標は、原則として、大きさの相違するそれぞれの部分からなる商標と類似する。

(例) 類似する場合
富士白鳥」と「富士」又は「白鳥」
サンムーン」と「サン」又は「ムーン」

(3) 著しく離れた文字の部分からなる商標は、原則として、離れたそれぞれの部分のみからなる商標と類似する。
(例) 類似する場合
「鶴亀 万寿」と「鶴亀」又は「万寿」

(4) 長い称呼を有するため、又は結合商標の一部が特に顕著であるため、その一部分によって簡略化される可能性がある商標は、原則として、簡略化される可能性がある部分のみからなる商標と類似する。
(例) 類似する場合
「cherryblossomboy」と「チェリーブラッサム」
「chrysanthemumbluesky」と「クリサンシマム」又は「ブルースカイ」

(5) 指定商品又は指定役務について慣用される文字と他の文字とを結合し
た商標は、慣用される文字を除いた部分からなる商標と類似する。
(例) 類似する場合
清酒について「男山富士」と「富士」
清酒について「菊正宗」と「菊」
興行場の座席の手配について「プレイガイドシャトル」と「シャトル」
宿泊施設の提供について「黒潮観光ホテル」と「黒潮」

(6) 指定商品又は指定役務について需要者の間に広く認識された他人の登録商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものを含め、原則として、その他人の登録商標と類似するものとする。
ただし、その他人の登録商標の部分が既成の語の一部となっているもの等を除く。

(例) 類似する例
テープレコーダについて「SONYLINE」、「SONY LINE」又は
「SONY/LINE」と「SONY」
化粧品について「ラブロレアル」と「L‘0REAL」「ロレアル」
かばん類について「PAOLOGUCCI」と「GUCCI」
航空機による輸送について「JALFLOWER」と「JAL」
映画の制作について「東宝白梅」と「東宝」

類似しない例
金属加工機械器具について「TOSHIHIKO」と「IHI」
時計について「アルバイト」と「ALBA/アルバ」
遊戯用機械器具について「せがれ」と「セガ」

(注)需要者の間に広く認識されているか否かの認定に当たっては、この基準第3の八(第4条第1項第10号)の7.を準用する。

(7) 商号商標(商号の略称からなる商標を含む。以下同じ。)については、商号の一部分として通常使用される「株式会社」「商会」「CO.」「K.K.」「Ltd.」「組合」「協同組合」等の文字が出願に係る商標の要部である文字の語尾又は語頭のいずれかにあるかを問わず、原則として、これらの文字を除外して商標の類否を判断するものとする。

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6.(1) 商標の構成部分中識別力のある部分が識別力のない部分に比較して著しく小さく表示された場合であっても、識別力のある部分から称呼又は観念を生ずるものとする。
(2) 商標が色彩を有するときは、その部分から称呼又は観念を生ずることがあるものとする。
(3) 商標の要部が、それ自体は自他商品の識別力を有しないものであっても、使用により識別力を有するに至った場合は、その部分から称呼を生ずるものとする。

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7.商標の称呼の類否を称呼に内在する音声上の判断要素及び判断方法のみによって判断するときには、例えば、次の(Ⅰ)及び(Ⅱ)のようにするものとする。

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(Ⅰ) 商標の称呼類否判断にあたっては、比較される両称呼の音質、音量及び音調並びに音節に関する判断要素(〔注1〕ないし〔注4〕)のそれぞれにおいて、共通し、近似するところがあるか否かを比較するとともに両商標が特定の観念のない造語であるか否か(例えば、明らかな観念の違いによってその音調を異にしたり、その称呼に対する注意力が異なることがある。)を考慮し、時と所を異にして、両商標が称呼され、聴覚されるときに聴者に与える称呼の全体的印象(音感)から、互いに相紛れるおそれがあるか否かによって判断するものとする。
両商標が下記(Ⅱ)の(1)ないし(8)の基準〔注5〕のいずれかに該当〔注6〕するときは、原則として、〔注7〕称呼上類似するものとする。

〔注1〕音質(母音、子音の質的きまりから生じる音の性質)に関する判断要素としては、
(イ) 相違する音の母音を共通にしているか、母音が近似しているか【例えば、1音の相違にあって(i)その音が中間又は語尾に位置し、母音を共通にするとき (ii)子音が調音の位置、方法において近似(ともに両唇音であるとか、ともに摩擦音であるとかのように、子音表において、同一又は近似する調音位置、方法にある場合をいう。ただし、相違する音の位置、音調、全体の音数の多少によって異なることがある。)し、母音を共通にするとき等においては、全体の音感が近似して聴覚されることが多い。】
(ロ) 相違する音の子音を共通にしているか、子音が近似しているか【例えば、1音の相違にあって(i)相違する音の子音がともに50音図の同行に属しその母音が近似(例えば、口の開き方と舌の位置の比較から、母音エはアとイに近似し、母音オはアとウに近似する。ただし、相違する音の位置、音調、全体の音数の多少によって異なることがある。) するとき (ii)相違する音が濁音(ガ、ザ、ダ、バ行音)の半濁音(パ行音)、清音(カ、サ、タ、ハ行音)の違いにすぎないとき等においては、全体の音感が近似して聴覚されることが多い。】等が挙げられる。

〔注2〕音量(音の長短)に関する判断要素としては、
(イ) 相違する音がその前母音の長音であるか(長音の有無にすぎないか)
(ロ) 相違する音がその後子音の長音であるか(促音の有無にすぎないか)
等が挙げられる。
音の長短は、長音、促音が比較的弱く聴覚されることから、音調(音の強弱)と関係があり(通常、長音、促音の前音が強く聴覚される。)、また、長音、促音は発音したときに1単位的感じを与えることから、1音節を構成し音節に関する判断要素とも関係がある。

〔注3〕音調(音の強弱及びアクセントの位置)に関する判断要素としては、
(イ) 相違する音がともに弱音(聴覚上、ひびきの弱い音)であるか、弱音の有無にすぎないか、長音と促音の差にすぎないか(弱音は通常、前音に吸収されて聴覚されにくい。)
(ロ) 相違する音がともに中間又は語尾に位置しているか(中間音、語尾音は比較的弱く聴覚されることが多い。)
(ハ) 語頭若しくは語尾において、共通する音が同一の強音(聴覚上、ひびきの強い音)であるか(これが強音であるときには、全体の音感が近似して聴覚されることが多い。)
(ニ) 欧文字商標の称呼において強めアクセントがある場合に、その位置が共通するか等が挙げられる。音の強弱は音自体(口の開き方の小さな音、イ・ウ、口を開かずに発せられる音、ム・ン、声帯が振動せずに発せられる音、フ・ス等は聴覚上、明瞭でないために弱音とされる場合)からだけでなく、相違する音の位置、全体の音数の長短等によって、相対的にその強弱が聴覚されることが多い。(例えば、相違する1音が音自体において上記のような弱音であっても、その前後の音も弱音である場合には弱音とはいえない場合がある。)

〔注4〕音節に関する判断要素としては、
(イ) 音節数(音数。仮名文字1字が1音節をなし、拗音は2文字で1音節をなす。長音(符)、促音、撥音もそれぞれ1音節をなす。)の比較において、ともに多数音であるか(1音の相違があっても、音数が比較的多いときには、全体の音感が近似して聴覚されることが多い。)
(ロ) 一つのまとまった感じとしての語の切れ方、分かれ方(シラブル、息の段階)において共通性があるか(その共通性があるときには、全体の音感が近似して聴覚されることが多い。)
等が挙げられる。

〔注5〕これらの基準は、両商標が称呼上、類似すると判断された事例にあって判断を構成した主たる要素として、また、各事例に共通する要素となるものを整理し、列挙したものである。

〔注6〕基準(1)ないし(8)(及びそれらの事例)と〔注1〕ないし〔注4〕に記載された判断要素との関係は、基準(1)ないし(3)が主として音質に関するものであり、基準(4)は主として音調、基準(5)は主として音量、基準(6)及び基準(7)は主として音節、基準(8)は、各判断要素に関するものである。なお、〔注1〕ないし〔注4〕に記載されていないが考慮すべき判断要素として、発音の転訛の現象(例えば、連続する2音が相互にその位置を置換して称呼されるような場合)が挙げられる。〔注7〕基準(1)ないし(8)に該当する場合であっても、つぎに挙げる(イ)ないし(ハ)等の事由があり、その全体の音感を異にするときには、例外とされる場合がある。
(イ) 語頭音に音質又は音調上著しい差異があるとき
(ロ) 相違する音が語頭音でないがその音質(例えば、相違する1音がともに同行音であるが、その母音が近似しないとき)音調(例えば、相違する音の部分に強めアクセントがあるとき)上著しい差異があるとき
(ハ) 音節に関する判断要素において
(i) 称呼が少数音であるとき(3音以下)
(ii) 語の切れ方、分かれ方(シラブル、息の段落)が明らかに異なるとき
なお、基準(6)及び(7)は、基準(1)ないし(5)に該当しない場合に適用
される。

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(Ⅱ)(1) ともに同数音の称呼からなり、相違する1音が母音を共通にするとき

「スチッパー」        「SKiPPER」
              (スキッパーの称呼)

「VANCOCIN       「BUNCOMIN
バンコシン 」          バンコミン 」

「ミ ギ オ ン」        「ミ チ オ ン」

(2) ともに同数音の称呼からなり、相違する1音が50音図の同行に属するとき

「ア ス パ」         「ア ス ペ」

「アトミン          「ATAMIN
Atomin 」           アタミン 」

「VULKENE」       「VALCAN」
(バルケンの称呼)    (バルカンの称呼)

(3) ともに同数音の呼からなり、相違する1音が清音、濁音、半濁音の差にすぎないとき

「HETRON」        「PETRON
(ヘトロンの称呼)      ペ ト ロ ン 」

「KUREKA         「GLECA
ク レ カ」            グ レ カ」

「サンシール」        「SANZEEL
                 サンジール 」

(4) 相違する1音がともに弱音であるか、又は弱音の有無の差にすぎないとき

「DANNEL」        「DYNEL」
(ダンネルの称呼)     (ダイネルの称呼)

「山 清            「ヤ マ セ」
やませい」

「VINYLA」         「Binilus」
(ビニラの称呼)       (ビニラスの称呼)

(5) 相違する1音が長音の有無、促音の有無又は長音と促音、長音と弱音の差にすぎないとき

「レーマン」          「Léman
                 レ マ ン」

「コロネート」         「CORONET」
                (コロネットの称呼)

「たからはと」         「タカラート」

(6) 同数音からなる比較的長い称呼で1音だけ異なるとき

「サイバトロン」        「サイモトロン」

(7) 比較的長い称呼で1音だけ多いとき

「CAMPBELL」       「Cambell
(キャンプベルの称呼)    キャンベル 」

「BPLEX           「ビタプレックス
ビプレックス」          VITAPLEX」

(8) その他、全体の音感が近似するとき

(イ) 2音相違するが上記(1)ないし(5)に挙げる要素の組合せであるとき

「COREXIT」         「コレスキット」
(コレクシットの称呼)

「ビセラジン」         「ビゼラミン」

                 「Frigen
「フレーゲン」          フリゲン
                  ふりげん 」

「天 神 丸」          「電 信 丸」
(テンジンガンの称呼)    (デンシンガンの称呼)

「COMPA          「COMBER
コ ン パ」           コ ン バ ー 」

(ロ) 相違する1音が拗音と直音の差にすぎないとき

「SAVOVET         「シャボネット」
サボネット 」

(ハ) 相違する音の一方が外来語におこなわれる発音であって、これと
他方の母音又は子音が近似するとき

「TYREX」           「TWYLEX」
(タイレックスの称呼)     (トウイレックスの称呼)

「FOLIOL」          「HELIOL
(フォリオールの称呼)    ヘリオール 」

(ニ) 相違する1音の母音又は子音が近似するとき

「サリージェ          「Sally Gee」
SALIGZE」          (サリージーの称呼)

「CERELAC」        「セレノック
(セレラックの称呼)     SELENOC」

(ホ) 発音上、聴覚上印象の強い部分が共通するとき

「ハ パ ヤ」          「パ ッ パ ヤ」

(ヘ) その他

「POPISTAN        「HOSPITAN
 ポピスタン 」          ホスピタン 」

「注.( )内の称呼は審決等で認定されたものである。」

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8.(1) 立体商標の類否は、観る方向によって視覚に映る姿が異なるという立体商標の特殊性を考慮し、次のように判断するものとする。ただし、特定の方向から観た場合に視覚に映る姿が立体商標の特徴を表しているとは認められないときはこの限りでない。

(イ) 立体商標は、原則として、それを特定の方向から観た場合に視覚に映る姿を表示する平面商標(近似する場合を含む。)と外観において類似する。

(ロ) 特定の方向から観た場合に視覚に映る姿を共通にする立体商標(近似する場合を含む。)は、原則として、外観において類似する。

(ハ) 立体商標は、その全体ばかりでなく、原則として、特定の方向から観た場合に視覚に映る姿に相応した称呼又は観念も生じ得る。

(2) 立体商標が立体的形状と文字の結合からなる場合には、原則として、当該文字部分のみに相応した称呼又は観念も生じ得るものとする。

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9.(1) 地域団体商標として登録された商標については、使用をされた結果商標全体の構成が不可分一体のものとして需要者の間に広く認識されている事情を考慮し、商標の類否判断においても、商標全体の構成を不可分一体のものとして判断することとする。

(2) 地域団体商標として登録された商標と同一又は類似の文字部分を含む後願の他人の商標は、(1)で述べた地域団体商標の事情を考慮し、原則として、地域団体商標として登録された商標と類似するものとする。

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10.商品の類否を判断するに際しては、次の基準を総合的に考慮するものとする。この場合には、原則として、類似商品・役務審査基準によるものとする。

(イ) 生産部門が一致するかどうか
(ロ) 販売部門が一致するかどうか
(ハ) 原材料及び品質が一致するかどうか
(ニ) 用途が一致するかどうか
(ホ) 需要者の範囲が一致するかどうか
(ヘ) 完成品と部品との関係にあるかどうか

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11.役務の類否を判断するに際しては、次の基準を総合的に考慮するものとする。この場合には、原則として、類似商品・役務審査基準によるものとする。

(イ) 提供の手段、目的又は場所が一致するかどうか
(ロ) 提供に関連する物品が一致するかどうか
(ハ) 需要者の範囲が一致するかどうか
(ニ) 業種が同じかどうか
(ホ) 当該役務に関する業務や事業者を規制する法律が同じかどうか
(ヘ) 同一の事業者が提供するものであるかどうか

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12.商品と役務の類否を判断するに際しては、例えば、次の基準を総合的に考慮した上で、個別具体的に判断するものとする。ただし、類似商品・役務審査基準に掲載される商品と役務については、原則として、同基準によるものとする。

(イ) 商品の製造・販売と役務の提供が同一事業者によって行われているのが一般的であるかどうか
(ロ) 商品と役務の用途が一致するかどうか
(ハ) 商品の販売場所と役務の提供場所が一致するかどうか
(ニ) 需要者の範囲が一致するかどうか


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