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坂野国際特許事務所
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ホーム>商標(商標に関するご案内)>判例のご紹介(判例紹介)>商4条編|判例のご紹介(判例紹介)>事例2商4条編|判例のご紹介(判例紹介)
目次
<概要>
<結論>
<解説>
<まとめ・余談>
本サイトは、上記<概要>、 <結論>、 <解説>及び<まとめ・余談>で構成されています。項目をクリックすると当該説明の箇所へジャンプします。時間のない方は、概要、結論、まとめ・余談等を先に読まれると良いかもしれません。
より理解を深めたい方は、解説を参照すると良いかもしれません。更に理解を深めたい方は、実際に判決文を入手して分析をする事をお勧めします。
<概要>
この例は、商標法第4条第1項15号違反を理由とする無効審判請求がされて特許庁において審判請求は成り立たないとの審決(商標登録は有効)とされた事件において、当該審決を取り消す、すなわち、裁判所で商標登録は無効であると認められた例です(平成10(行ヒ)第85号)。前述の事件と同様に、商標法第4条第1項15号に係る事件で、比較的有名な事件ですのでご紹介します。
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<結論1>
商標法四条一項一五号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には、当該商標をその指定商品又は指定役務(以下「指定商品等」という。)に使用したときに、当該商品等が他人の商品又は役務(以下「商品等」という。)に係るものであると誤信されるおそれがある商標のみならず、当該商品等が右他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれ(以下「広義の混同を生ずるおそれ」という。)がある商標を含むものと解するのが相当である。 |
<結論2>
「混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきである。 |
本例では、商標法第4条第1項15号に規定する出所の混同を生じると判断されています。前述の事件とはどのような違いがあるのでしょうか? ページトップへ
<解説>
被上告人の商標は、下記に表示のとおり、「レールデュタン」の片仮名文字を横書きにした商標であり、別表第21類「装身具、その他本類に属する商品」として、商標登録されました(登録第2099693号)。
一方、上告人は、指定商品を別表第4類「香料類、その他本類に属する商品」とする「L’ AIR DU TEMPS」の欧文字を横書きした下記の商標(登録第661424号、以下引用商標)についての商標権者です。
さらに、上告人は、香水に「L’ Air du Temps」及び「レール・デュ・タン」の商標(以下、併せて「本件各使用商標」という。」並びに引用商標を使用しており、本件各使用商標及び引用商標は、本件登録商標の登録出願当時、我が国において香水を取り扱う業者や高級な香水に関心を持つ需要者には、上告人の香水の一つを表示するものとして著名でありました。
本件の経過について、判決文によれば、以下の通りです。すなわち、
「3 上告人は、平成四年七月三日、商標法四条一項一五号に違反することを理由として、本件登録商標の指定商品中「化粧用具、身飾品、頭飾品、かばん類、袋物」につき本件商標登録を無効にすることについて、審判請求をした(平成四年審判第一二五九九号)。
4 特許庁は、平成九年二月二四日、上告人の審判請求は成り立たないとの審決(以下「本件審決」という。)をした。」です。
本事例は、かかる審決に対して不服であるとして、審決取消を請求した事件です。原審の請求棄却理由は、判決文によると、
「本件登録商標の登録出願当時、本件各使用商標及び引用商標は、我が国において香水を取り扱う業者や高級な香水に関心を持つ需要者には、上告人の香水の一つを表示するもの(いわゆるペットマーク)として著名であったものの、一般的に周知著名であったとまでは認め難く、また、本件登録商標と引用商標は称呼を同じくするものとはいえないから、商品の出所について混同が生ずるおそれがあるとはいえない。」というものです。
特許庁のこのような判断がどのように覆されたのでしょうか。
最高裁での判決文によれば、以下のようになります。すなわち、
「三 しかしながら、原審の右判断は是認することができない。その理由は、次のとおりである。
1【要旨1】 商標法四条一項一五号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には、当該商標をその指定商品又は指定役務(以下「指定商品等」という。)に使用したときに、当該商品等が他人の商品又は役務(以下「商品等」という。)に係るものであると誤信されるおそれがある商標のみならず、当該商品等が右他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれ(以下「広義の混同を生ずるおそれ」という。)がある商標を含むものと解するのが相当である。けだし、同号の規定は、周知表示又は著名表示へのただ乗り(いわゆるフリーライド)及び当該表示の希釈化(いわゆるダイリューション)を防止し、商標の自他識別機能を保護することによって、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護することを目的とするものであるところ、その趣旨からすれば、企業経営の多角化、同一の表示による商品化事業を通して結束する企業グループの形成、有名ブランドの成立等、企業や市場の変化に応じて、周知又は著名な商品等の表示を使用する者の正当な利益を保護するためには、広義の混同を生ずるおそれがある商標をも商標登録を受けることができないものとすべきであるからである。
そして、【要旨2】「混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきである。
2 本件登録商標は、本件各使用商標のうち「レール・デュ・タン」の商標とは少なくとも称呼において同一であって、外観においても類似しており、しかも、引用商標の表記自体及びその指定商品からみて、引用商標からフランス語読みにより「レールデュタン」の称呼が生ずるものといえるから、本件登録商標は、引用商標とも称呼において同一である。また、本件各使用商標及び引用商標は、香水を取り扱う業者や高級な香水に関心を持つ需要者には、上告人の香水の一つを表示するものとして著名であり、かつ、独創的な商標である。さらに、本件登録商標の指定商品のうち無効審判請求に係る「化粧用具、身飾品、頭飾品、かばん類、袋物」と香水とは、主として女性の装飾という用途において極めて密接な関連性を有しており、両商品の需要者の相当部分が共通する。
【要旨3】以上の事情に照らせば、本件登録商標を「化粧用具、身飾品、頭飾品、かばん類、袋物」に使用するときは、その取引者及び需要者において、右商品が上告人と前記のような緊密な関係にある営業主の業務に係る商品と広義の混同を生ずるおそれがあるということができる。なお、本件各使用商標及び引用商標がいわゆるペットマークとして使用されていることは、本件各使用商標等の著名性及び本件各使用商標等と本件登録商標に係る各商品間の密接な関連性に照らせば、前記判断を左右するに足りない。
四 以上のとおり、これと異なる見解の下に上告人の本件審決取消請求を棄却した原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨はその趣旨をいうものとして理由があり、原判決は破棄を免れない。そして、以上に説示したところによれば、上告人の本件審決取消請求はこれを認容すべきものである。」としています。
ここで、平成19年(行ケ)第10383号の事例において、商標法4条1項15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標の判断基準として、最高裁平成12年7月11日第三小法廷判決を挙げていますが、まさしく、この最高裁平成12年7月11日第三小法廷判決が、本事例(平成10(行ヒ)第85号)で示された判断基準です。
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<まとめ・余談>
上告人側の商標権者は、パルファンニナリッチです。有名ブランドですね。特許庁側が判断したのは、おそらく、商標が「ニナリッチ」(ハウスマーク、(社名))であれば、問題なく出所混同を認めたようにうかがえます。
今回、対象の引用商標は、「レール・デュ・タン」ですので、特許庁の見解としては、「当該「レール・デュ・タン」が需要者・取引者間において一定の認識を形成していると仮定しても、それは特定された商品「香水」に特定されることによって形成、維持される。」というものです。それゆえに、ハウスマーク、ひいては、商標権者との関係については、出所混同を生じるまでには及ばないと判断したのでしょう。この考えもうなずける事はうなずけます。
しかしながら、本サイトの商標登録出願は必要か?の項でも一部ご説明したように、一定の商標が付された商品又は役務が、高品質なもの、商品として魅力的なもの、などとして継続的に世におくりだすことにって、計り知れない膨大な財産的価値、信用が、当該商標に化体し、ひいては、当該商標(ハウスマーク、ファミリーマーク、ペットマークを問わず)の所有者たる企業にも拡大し、企業の財産的価値、評価、信用が最終的に蓄積されていきます。そうすると、ファミリーネームやペットネームの商標に化体した財産的価値は、当該ファミリーネームの商標を使用した商品に留まらず、当該商標の所有者たる商標権者、企業にまで及んで生きます。これが、商標の凄い所です。
このような事情を考慮して、結果、今回のような判決がなされたのかもしれません。
また、今回の事例では、実際に使用されている商標の方が、非常に近似している態様となっています。ネーミングを検討する場合に、一言で登録性を有する商標を探すといっても、出願商標以外に使用商標があるので大変です。自己が販売等する商品群については、店頭、カタログ、広告、ウエブページなどで実際に使用されている商標の態様も把握しておく事が望ましいと思えます。
今回の事例は、著名商標の保護を明確に打ち出して、同時に出所混同の判断基準を提供している点で重要であると思われます。
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