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坂野国際特許事務所
代表: 弁理士 坂野博行
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ホーム>商標(商標に関するご案内)>商標登録出願は必要か?
商標権も産業財産権の一種であり、特許の項の「特許出願は必要か?」で述べたことと同じ事がいえます。まず、特許出願は必要か?をご参照願います。ここでは、商標の特殊性についてお話します。
私達が、商品を購入する場合について考えて見ます。デパートやショッピングモール、電化製品店、などフロアーいっぱいにたくさんの商品が陳列されています。このデザインがかっこいいなー、綺麗だなー、愛着がわきそうだ、という場合に購入するのは、おそらく、製品に施された意匠(意匠に関するご案内参照)に購買意欲を喚起されたからでしょう。また、外観はともかく、非常に技術的に優れているために製品を購入する場合もあるかもしれません。この場合、おそらく何らかの技術的思想として特許権(特許に関するご案内参照)として保護されているのかもしれません。とにかく安いから、というのも選択しですが、今まで購入して納得している商品だからというのも大きな理由ではないでしょうか?以前購入したメーカーの商品なら壊れにくいし、品質もいい、高性能だしと思うかもしれません。
「技術的優位性」、「外観」や「価格」の他に、消費者の購買意欲(製品を購入しようとする意欲)を喚起する重要な要素として、目には見えない「信用」、「安心」なども非常に重要なウエイトを占めています。
では、消費者は、この目に見えない「信用」「安心」といったものを、何をよりどころとして判断しているのでしょうか?・・・
それが、「商標」(サービスマークも含む。)なのです。商標が、「物言わぬセールスマン」ともいわれるゆえんもここにあります。企業の「信用」「安心」を一目で判断してもらうために、商標は必要なのです。この「商標」、シンボルマークといいますか、ブランドといいますか、これによって、自社商品または役務と他社商品または役務とを識別させて、自社の信用を守って健全な企業を活動を継続していくために非常に大切な権利なのです。これが商標権です。
商標登録出願までしなくてもいいのではないですか?との質問。ネガティブな理由には、やはり特許の項で述べた「特許出願は必要か?」に記載した理由もあります。
積極的に、明るそうな話題から、商標登録出願の必要性を見てみましょう。
1)地域おこしの活性化
【地域おこしの活性化】
以前に「讃岐うどん」の商標登録性について流行しましたが、もともと商標法3条1項3号に該当するものですが、あれだけ有名なので、ほとんど普通名称化(3条1項1号)されていて登録もおそらく無理なものです。通常の商標権でも、商標の管理を怠ったり、斬新的な印象を与えるものであるなどの理由で普通名称化されてしまうのもあります。セロテープなども普通名称化してます。他にもたくさんあると思います。
地域ブランドを商標登録して、成功した例は、ご存知かもしれませんが、高級なさば、あじにつけられたものがあります。偽物が出回ったのですが、商標登録されたおかげで、出所も保証され、さらに名声も高くなりました。
「伝家の宝刀」ではありませんが、商標権という非常に強力な独占排他権を与えられたことから、権利行使の対象になると大変なので、偽物を売る人がさっぱりいなくなったそうです。
すなわち、特許の項の「特許出願はなぜ必要か?」でご説明したように、商標権も財産権であり、独占排他権であり、何人も不可侵義務を負います。違反すれば、差止請求権、損害賠償請求権、不当利得返還請求権、信用回復の措置権等の行使により、損害を賠償しなければならなくなります。他人が権利侵害しないように抑止力が働くのです。
2)企業評価を高める価値
【企業評価を高める価値】
商標には、単に出所表示を示す出所表示機能、自他商品識別機能の他に、品質保証機能、宣伝広告機能、顧客吸引力といった機能があります。近年では、出所というより、どの商品がいかなる品質、性能をもっているのかの方が消費者にとって重要な関心ごととなっています。また、ラジオ、テレビ、新聞、雑誌、最近では、インターネットの普及により、広告手段が発達して、消費者に商標を浸透させることが容易となっています。
一定の商標が付された商品又は役務が、高品質なもの、商品として魅力的なもの、などを継続的に世におくりだすことにって、計り知れない膨大な財産的価値が、当該商標に企業の信用とともに蓄積されていきます。
これはものすごい大きな力を有しています。ある商標が付されたブランド物の、かばん、アクセサリー、洋服、小物などが、高額であるにもかかわらず、売れ行きを伸ばしているのは、良くご存知の事と思います。
商標は、このように一人歩きして、膨大な財産的価値を膨らまし続けてくれるのです。最も、品質を落とさず、継続的に、常に細心の注意を払って企業努力を行い、誠実に業務を遂行していくことが前提となるでしょう。
3)ネーミングの力
【ネーミングの力】
優れたネーミングからなる商標が付された商品の成功例も少なくありません。この点、ネーミングも付された商品又は役務の売り上げを左右する重要な要素です。ネーミングで成功しやすいものは、どんなものなのでしょう。
・消費者の心を動かすもの
やはりハートが肝心なようです。頭がいくら良くても、ハートがなければ、ということです。嫁さんともたまに喧嘩したりしますが、人と人との繋がりで最も大事なのはハートです。ハートがなければ頭は何にも役に立ちません。脱線してしまいましたが、消費者のハートを掴むものを探してみてください。
・消費者に好まれるもの
・商品・サービスの中身がわかるもの
・独創性があるもの
・強烈な印象を与えるもの
・美的センスがあるもの
・覚えやすいもの
・親しみやすいもの
・かっこいいもの
・そしてもちろん商標権の取得ができるもの
他にもいろいろありそうですが、ネーミングを考える場合に、まず、商標権の取得ができるものが前提となるでしょう。優れたネーミングをもつ商標は、売り上げアップ、企業イメージアップに繋がります。
ここで、注意していただきたいのは、「模倣」です。他人の商標が付された商品が良く売れるから、まねしようというものです。模倣は、先人がこれまで築き上げてきた信用に便乗して利益を上げようとするものです。これはいけません。このような模倣は、商標法と、不正競争防止法で厳しく取り締まられています。
4)ハウスマークの商標
【ハウスマークの商標】
ハウスマークとは、営業の同一性を表す営業標識として使用される社標をいいます。社名や企業の創業者に由来するものなどがあります。簡単にいえば会社のロゴですね。
つまり、商品等に付された商標が、消費者に購入されることによって、信用を蓄積していくということは、ひいては、当該商品等を製造販売する企業自体が顧客の信用を獲得することになります。
膨大な財産的価値を有する商標にハウスマークを利用すると、企業価値アップも商品価値アップとともに見込めることになります。
きめ細かな販売戦略を行うには、以下のファミリーマークなどの使用が効果的です。
5)ファミリーマーク、ペットマーク
【ファミリーマーク、ペットマーク】
ハウスマークの長年の使用によって企業の信用が蓄積されて、顧客吸引力を発揮してくれば、次の戦略は、ファミリーマーク、ペットマークの使用です。ハウスマークと併用して、ファミリーマークやペットマークを使用することにより、ハウスマークの顧客吸引力と相俟って相乗効果を期待できます。
例えば、商品群ごとにファミリーマークをつけて、個々の商品ごとにペットマークをつけると、より細やかに区分けしてサービスを提供できます。
ファミリーマークとして、高級志向の商品群、中級志向の商品群、一般向けの商品群など別々に商標を決めて、さらに個々の商品にペットマークの商標を付して販売戦略を展開していく。
商標のおかげで、商品の信用ひいては、企業の信用をも蓄積できるからこそ、行う事ができる戦略です。
商標登録出願の必要性というよりも、商標出願戦略まで言及してしまいましたが、いずれにしても上手に商標権を獲得して、商標を利用、使用することによって、計り知れない、企業価値アップ、顧客吸引力を利用した販売戦略を図る事が可能となるのです。
このように商標は、何十人、何百人、何千人にも匹敵するほどの膨大な力、財産的価値をもつ事になるのです。
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