東京・神奈川・川崎・横浜・横須賀・関東一円・全国対応・発明相談・特許調査・商標調査・知的財産コンサルティング・特許出願・実用新案登録出願・意匠登録出願・商標登録出願・PCT出願・マドプロ・外国出願【坂野国際特許事務所(横浜関内)】
ここでは、国際登録出願するメリット、長所、利点等について説明します。従来各国ごとに行っていた手続きは、国際登録出願することによりどのような利点があるのでしょうか? 1)費用が安い。出願手続きの一本化によって、各国別に出願するより、出願費用安価であり更新費用も安価です。すなわち、各国の審査で拒絶理由等が通知されない限り、直接的に出願する場合に発生していた現地の外国弁理士報酬、弁護士報酬、及び翻訳料等がかからないため、コストを大幅に削減することができます。例えば、商品等を3区分指定したとして、現地代理人の費用は、国にもよりますが、1か国当たり、10〜40万円前後の弁理士報酬、翻訳料等がかかっています。これらが総てカットされる事になります。 2)管理が比較的容易である。国際登録の存続期間の更新や名義人変更等を行う場合、国際事務局等に対しての手続きですみ、各国ごとに手続きをする必要がありません。更新等の一括管理ができるので、国ごとの管理をする必要がなくなります。例えば、従来では、各国ごとに更新手続きを行う必要がありましたが、10年ごとの更新手続きも国際事務局への一つの更新申請により、一括して更新する事ができます。(なお、国際登録の存続期間は、国際登録日から10年です。) 3)権利化が早い。国際事務局から、指定国への指定の通報の日から1年(又は18か月)以内に拒絶理由通知がなければ、登録が維持されます。4)手続きが簡略化されている。各国ごとに出願書類を作成する必要がなく、一つの国際出願により複数の締約国への権利取得が可能であります。5)出願後においても指定国の追加を行うことができる。これはメリットがあります。出願時には、保護が不要であると判断した国であっても、あとから指定国に追加する事ができます。事業計画の変更等により、各国における商標出願戦略が変更されて、指定国を増やしたい場合にメリットがあります。これは、国際登録出願後、新たに議定書の締約国となった国についても事後指定国として追加することができます。(但し、留保している場合は除かれます(議定書14条)。) なお、事後指定は、国際登録が存続している限り、いつでもする事ができます(議定書3条の3)。 ページトップへ ・国際登録出願するデメリットここでは、国際登録出願するデメリット、短所、欠点等について説明します。 1)基礎登録・基礎出願の存在が必要である。国際登録出願(マドプロ出願)をしようとする商標と同一の商標が、我が国で、商標登録又は商標登録出願等がされていることが必要です。【商標の同一性】 この場合に、商標の同一性は厳格に判断されます。具体的に、商標法第3条第2項の適用を受ける場合のような厳密な意味での同一性が要求されます(商68条の3)。 例えば、基礎出願にかかる商標が、草書体の漢字であるのに対し、国際登録出願に係る商標が、行書体の漢字であったり、基礎出願にかかる商標が、平仮名であるのに、国際登録出願に係る商標が、カタカナ、漢字又はローマ字等である場合には、同一性が認められないでしょう。 なお、同縮尺であれば、縮小、拡大等しても、商標の同一性を満たすものとして取り扱われます。 【指定商品又は指定役務】 基礎出願・基礎登録の指定商品・役務はと、国際登録出願の指定商品・役務の範囲は、同一範囲内となります。 すなわち、国際登録出願の指定商品・役務も同様に、基礎登録・基礎出願の範囲と同一又はその範囲内でなければなりません。 但し、物理的な意味での同一性を要求するのではなく、例えば、国際登録出願にかかる指定商品・指定役務が、基礎出願・基礎登録の指定商品・指定役務と実質的に同一であるか、又は国際登録出願にかかる指定商品・指定役務が、基礎出願・基礎登録の指定商品・指定役務に包含される関係にある場合には、指定商品・指定役務の表現が多少異なっていても、同一性が認められます。 いすれにしても、基礎出願・基礎登録の指定商品又は指定役務から、商品又は役務の拡大化を図りたい場合には、国際登録出願制度を活用する事ができません。 2)セントラルアタックの問題がある。国際登録の日から5年の期間が満了する前に、基礎登録、基礎出願が無効、消滅等したときは国際登録も取り消されます。セントラルアタックとは、簡単に言えば、国際登録日から5年以内に、基礎出願又は基礎登録が消滅した場合に、国際登録も取り消されてしまうことをいいます。より詳細には、国際登録日から5年以内に、商標登録の無効、取消、放棄、又は出願の拒絶等の原因ヶ発生することにより、基礎出願又はj基礎登録が消滅してしまった場合には、国際登録が取り消されます(議定書6条(4))。国際登録が取り消されると、各指定国において、国際登録による保護を主張できなくなります(議定書6条(3))。 複数の指定国で国際登録に基づく保護を消滅させるには、中心に位置する基礎出願・基礎登録を攻撃することが有効であることから、このように「セントラルアタック」とよばれています。 したがって、国際登録日から5年間は、係るリスクが国際登録出願には存在する点、留意すべきです。 3)英語で出願する必要がある。指定商品を英語で表現する困難性があります。英語以外を母国語とする国に保護を求める場合には、不明確な商品、役務名にならないように留意する必要があります。認められる指定商品又は指定役務の表示は、各指定国によって異なるので、「ニース協定の基づく商品・サービスの国際分類アルファベット順一覧表」の英語表記や、「類似商品・役務審査基準(国際分類対応)(英語訳付き)」を参考にして、作成しても、最終的には、各指定国の判断に従って、補正手続きをせざるを得ない場合もあります。 かかる点、十分に留意する必要があります。 4)マドリット協定議定書に加盟していない国においては、国際登録を受けることができない。加盟国以外の国で保護を求める事ができません。なお、加盟国については、別サイトの国際登録出願の指定国(マドリッド協定議定書の加盟国)において説明していますので、ご覧ください。 ページトップへ
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