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坂野国際特許事務所
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         事例1|商3条編

   |判例のご紹介(判例紹介)


事例1                                平成13年(行ケ)第265号

目次
 <概要>
 <結論>
 <解説>
 <まとめ・余談>

 本サイトは、上記<概要>、 <結論>、 <解説>及び<まとめ・余談>で構成されています。項目をクリックすると当該説明の箇所へジャンプします。時間のない方は、概要、結論、まとめ・余談等を先に読まれると良いかもしれません。
 より理解を深めたい方は、解説を参照すると良いかもしれません。更に理解を深めたい方は、実際に判決文を入手して分析をする事をお勧めします。


                                                  概 要

<概要>  
 この例は、商標法第3条第1項3号及び同法第3条2項違反を理由とする審決がされた事件において、当該審決を取り消す、すなわち、裁判所で商標の使用による識別力が肯定された認例です(平成13年(行ケ)第265号)。

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                                                  結 論

<結論1>
 
 出願に係る商標が、指定商品の品質、形状を表示するものとして商標法3条1項3号に該当する場合に、それが同条2項に該当し、登録が認められるかどうかは、使用に係る商標及び商品、使用開始時期及び使用期間、使用地域、当該商品の販売数量等並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して、出願商標が使用をされた結果、需要者がなんぴとかの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められるかどうかによって決すべきものであり、その場合に、使用に係る商標及び商品は、原則として出願に係る商標及び指定商品と同一であることを要するものというべきである。

<結論2>
 
 商標法第3条1項3号により、指定商品の品質、形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標が、本来は商標登録を受けることができないとされている趣旨は、そのような商標が、商品の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占的使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによることにかんがみれば、上記の場合に、使用商標が出願商標と同一であるかどうかの判断は、両商標の外観、称呼及び観念を総合的に比較検討し、全体的な考察の下に、商標としての同一性を損なわず、競業者や取引者、需要者等の第三者に不測の不利益を及ぼすおそれがないものと社会通念上認められるかどうかを考慮して行うべきものと解するのが相当である。

 使用による識別力が認められた例です。
 それでは、より具体的に内容を明らかにしていきます。

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                                                  解 説

<解説>
 商願平6-48572号の商標は、下記に表示のとおり、「角瓶」の文字を左横書きしてなる商標(以下「本願商標」という。)です。

 本件審決の内容は、判決文によれば、以下の通りです。すなわち、
「審決は、別添審決謄本写し記載のとおり、本願商標は、指定商品の品質、形状を表示するにすぎないので、商標法3条1項3号に該当し、また、同条2項所定の要件を具備していると認めることもできないから、原査定を取り消すべき限りではないとした。」というものです。

 本事例は、かかる審決に対して不服であるとして、審決の取消を請求した事件です。裁判所は、「商標法第3条2項該当性判断の誤りについて」を審理判断しています。
 まず、興味を引いた判決文の部分は、以下の文です。すなわち、
「他方、上記の本願商標と厳密には書体が同一ではない「角瓶」の文字も、平成11年2月27日付け毎日新聞掲載の広告(甲第11号証の11)に表示されたものを除き、通常の活字体による書体からなるものであり、上記毎日新聞掲載の広告における「角瓶」の文字も、字の傾き等はやや異なるものの全体としては本願商標と近似する書体によってなるものと認められ、商標法3条2項に関する商標審査基準が出願商標と使用商標の同一性を欠く場合の一例としている、草書体と楷書体又は行書体との間におけるような大きな書体の相違があるわけではない。」の部分です。

 続いて、判決文は、
「また、漢字の縦書きが左横書きと並んで日本語における通常の表記方法であることは明ら
かであり、さらに、「角」と「瓶」の字間が本願商標よりも広い「角瓶」の文字の表示も、その字間の広さが表示上特徴的といえるほど広いわけではない。したがって、これらの商標に係る文字の表示態様は、本願商標の上記の構成態様と対比して、外観上、取り立てていうほどの相違点と認めることはできないのであり(上記商標審査基準が縦書きと横書きの相違を同一性を欠く一つの場合として例示する点は、本件においては妥当しない。)、また、これらの商標と本願商標とが称呼及び観念を共通にするものであることは明らかである。
    そうとすれば、外観、称呼及び観念を総合的に比較検討し、全体的に考察した場合には、上記のとおり本願商標と厳密には書体が同一ではない文字、縦書きで書された文字及び「角」と「瓶」の字間が本願商標よりも広い文字による表示に係る商標も、本願商標と商標としての同一性を損なうものではなく、競業者や取引者、需要者等の第三者に不測の不利益を及ぼすおそれがないものと社会通念上認められるから、使用商標が出願商標と同一である場合に当たるものというべきである。」とつなげています。

 一般的に、商標法3条2項の商標の同一性は、商標法50条の商標の同一性よりも厳格に解釈されている傾向があります。例えば、審査基準には、同一とは認められず、使用による識別力を有するにいたった商標とは認められない商標の例として、以下のようなものを例示しています。すなわち、
 「例えば、次のように、出願された商標と証明書に表示された商標とが異なる場合は、使用により識別力を有するに至った商標とは認められないものとする。
(イ) 出願された商標が草書体の漢字であるのに対し、証明書に表示された商標が楷書体又は行書体の漢字である場合
(ロ) 出願された商標が平仮名であるのに対し、証明書に表示された商標が片仮名、漢字又はローマ字である場合
(ハ) 出願された商標がアラビア数字であるのに対し、証明書に表示された商標が漢数字である場合
(ニ) 出願された商標がPのような態様であるのに対し、証明書に表示された商標がP、P又はPのような構成である場合
(ホ) 出願された商標が立体商標であるのに対し証明書に表示された商標が
平面商標である場合、又は出願された商標が平面商標であるのに対し証明書に表示された商標が立体商標である場合」です。(本判決以前審査基準)

 興味深いことに、本判決以後は、審査基準には、下記の判断基準が追加されています。すなわち、
 「(3) 出願された商標と証明書に表示された商標とが厳密には一致しない場合であっても、例えば、その違いが明朝体とゴシック体、縦書きと横書きにすぎない等外観において同視できる程度に商標としての同一性を損なわないものと認められるときには、本項の判断において考慮するものとする。」です。

 おそらく、本判決があったからこそ追加された判断基準のようです。判例を勉強する強みがやはりここにあります。すなわち、判例にも目を通すことにより、現在審査基準等に掲載されていない判断材料であっても、将来判断基準とされるような材料が豊富に存在するようです。 
 打線しましたが、本例においては、同一性の幅を少し広げて解釈されているようです。同一の厳格性よりも、商標の外観、称呼及び観念を総合的に比較検討して、全体的な考察のもとに社会通念上認められるかまで考慮した結果ということでしょうか?


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                                             まとめ・余談

<まとめ・余談>
 ポイント的な部分は、使用期間が長いこと、多少の変形使用例があるとしても、中には、近似する商標の使用があったこと、第三者によるアンケート調査があったこと等でしょうか。商標法3条2項の適用肯定例は少ないようで、適用が認められるのは、容易ではなさそうなので、本例のような例に限らず、他の肯定例の勉強も必要そうです。
 
 最後に、3条2項の審査基準を紹介します。審査基準は、以下のようです。

「1.本項でいう「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの」とは、特定の者の出所表示として、その商品又は役務の需要者の間で全国的に認識されているものをいう。

2.(1) 本項を適用して登録が認められるのは、出願された商標及び指定商品又は指定役務と、使用されている商標及び商品又は役務とが同一の場合のみとする。
(2) 例えば、次のように、出願された商標と証明書に表示された商標とが異なる場合は、使用により識別力を有するに至った商標とは認められないものとする。
(イ) 出願された商標が草書体の漢字であるのに対し、証明書に表示された商標が楷書体又は行書体の漢字である場合
(ロ) 出願された商標が平仮名であるのに対し、証明書に表示された商標が片仮名、漢字又はローマ字である場合
(ハ) 出願された商標がアラビア数字であるのに対し、証明書に表示された商標が漢数字である場合
(ニ) 出願された商標がPのような態様であるのに対し、証明書に表示された商標がP、P又はPのような構成である場合
(ホ) 出願された商標が立体商標であるのに対し証明書に表示された商標が
平面商標である場合、又は出願された商標が平面商標であるのに対し証明書に表示された商標が立体商標である場合
(3) 出願された商標と証明書に表示された商標とが厳密には一致しない場合であっても、例えば、その違いが明朝体とゴシック体、縦書きと横書きにすぎない等外観において同視できる程度に商標としての同一性を損なわないものと認められるときには、本項の判断において考慮するものとする。

3.(1) 商標が使用により識別力を有するに至ったかどうかは、例えば、次のような事実を総合勘案して判断するものとする。
具体的には、商標の使用状況に関する事実を量的に把握し、それによってその商標の需要者の認識の程度を推定し、その大小ないし高低等により識別力の有無を判断するものとする。
A 実際に使用している商標並びに商品又は役務
B 使用開始時期、使用期間、使用地域
C 生産、証明若しくは譲渡の数量又は営業の規模(店舗数、営業地域、 売上高等)
D 広告宣伝の方法、回数及び内容
E 一般紙、業界紙、雑誌又はインターネット等における記事掲載の回数及び内容
F 需要者の商標の認識度を調査したアンケートの結果
(2) 上記(1)の事実は、例えば、次のような証拠方法によるものとする。
A 広告宣伝が掲載された印刷物(新聞、雑誌、カタログ、ちらし等)
B 仕切伝票、納入伝票、注文伝票、請求書、領収書又は商業帳簿
C 商標が使用されていることを明示する写真
D 広告業者、放送業者、出版業者又は印刷業者の証明書
E 同業者、取引先、需要者等の証明書
F 公的機関等(国、地方公共団体、在日外国大使館、商工会議所等)の証明書
G 一般紙、業界紙、雑誌又はインターネット等の記事

H 需要者を対象とした商標の認識度調査(アンケート)の結果報告書
ただし、需要者の認識度調査(アンケート)は、実施者、実施方法、対象者等その客観性について十分に考慮するものとする。

(3) 商標が使用により識別力を有するに至ったかどうかについては、出願人以外(団体商標の商標登録出願の場合は「出願人又はその構成員以外」とする。)の者による使用の有無及びその使用の状況を確認の上、判断するものとする。

(4) 団体商標が使用により識別力を有するに至ったかどうかの判断については、特に、その構成員の使用に関する(1)の事実を勘案するものとする。
なお、各構成員の(2)に関する書類を証拠方法とするときは、その者が構成員であることを証する書類を要するものとする。

(5) 小売等役務についての商標が使用により識別力を有するに至ったことを証明する場合においては、この基準第1の二(第3条第1項柱書)の3.(3)により、小売等役務に係る業務を行っていることの証明を要するものとする。

(6) 小売等役務についての商標に関する使用の証明においては、商標が商品や商品の包装、商品の価格表、取引書類、広告自体に表示されている場合には、その表示態様に応じて、商標が個別具体的な商品の出所を表示しているのか、または、取扱商品に係る小売等役務の出所を表示しているのかを考察し、小売等役務についての使用であるか否かを判断するものとする。」


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