東京神奈川川崎横浜横須賀・関東一円・全国対応・発明相談特許調査商標調査知的財産コンサルティング特許出願実用新案登録出願意匠登録出願商標登録出願PCT出願マドプロ外国出願坂野国際特許事務所(横浜関内)】








坂野国際特許事務所
代表: 弁理士 坂野博行
詳しいプロフィールはこちら

 大手企業の知的財産部での7年の経験、及び大手特許事務所(スタッフ100名、弁理士数十名)での8年の経験を生かして、依頼者の立場に沿ったリーガルサービスが可能です。

〒231-0013 
神奈川県横浜市中区住吉町1-6
M・P・S関内 601号

TEL : 045-227-5117
FAX: 045-227-5118

【対応地域】東京都・神奈川県・埼玉県・山梨県・千葉県等の関東一円、及び全国対応

 遠方では、例えば、大阪、九州及び岡山の国立大学法人様からも依頼実績があります。

-更新履歴-
















ホーム商標(商標に関するご案内)判例のご紹介(判例紹介)商4条編|判例のご紹介(判例紹介)>事例3商4条編|判例のご紹介(判例紹介)

         事例4|商4条編

   |判例のご紹介(判例紹介)


事例4                                平成14年(行ケ)第514号

目次
 <概要>
 <結論>
 <解説>
 <まとめ・余談>

 本サイトは、上記<概要>、 <結論>、 <解説>及び<まとめ・余談>で構成されています。項目をクリックすると当該説明の箇所へジャンプします。時間のない方は、概要、結論、まとめ・余談等を先に読まれると良いかもしれません。
 より理解を深めたい方は、解説を参照すると良いかもしれません。更に理解を深めたい方は、実際に判決文を入手して分析をする事をお勧めします。


                                                  概 要

<概要>  
 この例は、商標法第4条第1項19号違反を理由とする無効審判請求がされて特許庁において審判請求を容認するとの審決(商標登録は無効)とされた事件において、これを不服とする裁判においても商標登録は無効であると認められた例です(平成14(行ケ)第514号)。

                                              ページトップへ

                                                  結 論

<結論>
 
 商品が大量生産されるものでない場合に、実際に商品が販売されている個数が少ないとしても、雑誌等において相当部数発行(本事例の場合1万5000部)されていて紹介されている以上、周知となっていたものと認めるべきものである。

 外国商品を輸入販売して事業を興す場合に参考になるかもしれない事例です。商標法4条1項19号は、平成8年改正法により導入されたものです。
 4条1項19号については、平成8年改正法附則に経過規定が設けられておらず、施行日(平成9年4月1日)前の出願にも適用されます。本事例も平成8年改正法施行前に出願、登録されたものですが、4条1項19号が適用されています。
 それでは、具体的に中身を見ていきたいと思います。
                                              ページトップへ


                                                  解 説

<解説>
 特許庁側でも、無効成立し、裁判所でも、無効が成立しており、両者が異なる見解ではないのですが、4条1項19号に関するご質問を良く耳にするので、取り上げてみました。
 
 まず、本事例においては、登録商標は以下のとおりであり、


 引用商標は、以下のとおりであり、



 両者は、少なくとも外観、称呼においていずれか1つが相紛らわしく、出所の混同を生じるほどに近似、すなわち、類似していることについて疑う余地がなく、この点も特に争われておりません。そこで、特に、引用標章の使用時期と周知性の認定の誤りについて紹介してみます。

 裁判所は、下記の証拠を勘案して、「引用標章は,本件各商標の登録出願前には,少なくとも米国内のバッグ類を取り扱う業界及び当該商品の需要者の間で広く認識されていたとの審決の認定判断に誤りはない。」としています。具体的には、以下のようです。
 すなわち、判決文によれば、
 「 2 引用標章の使用時期と周知性認定の誤りに関する取消事由について
 (1) 被告が,1983年(昭和58年)4月に「ウルバリン マウンテン プロダクツ インコーポレーテッド」から「マンハッタン ポーテージ リミテッド」と社名変更したことは弁論の全趣旨によって認められ,以下の審決認定の事実は,原告において争っていない。
 @ 被告は,スクール・ダッフルバッグ,フライトバッグ,メッセンジャーバッグ等のバッグの製造,販売を業務とする米国の法人であること,被告は,「使用開始」を1983年(昭和58年)4月25日と記載して,国際分類第18類(ソフトラゲッジ,ショルダーバッグ,バックパック,すべての用途のスポーツバッグ,自転車ウエストポーチ)及び第22類(キャンバスメッセンジャーバッグ)について,米国特許商標庁へ登録出願し,「登録番号;第2075388号」として1997年(平成9年)7月1日に登録を受けたものであること。
 A 本件各商標の登録出願前である1988年(昭和63年)10月以前に発行,頒布された被告商品を掲載した商品カタログには,その表紙及び裏表紙に地色を赤色とした横長長方形内の中央部に,白抜きで描かれた高層ビル群の図形及び該図形の下部に同じく白抜きで書された「ManhattanPortage」の文字を要部とする標章が表示されており,同カタログ中に掲載された商品には,地色を緑色とした横長長方形内の中央部に,白抜きで描かれた高層ビル群の図形及び該図形の下部に同じく白抜きで書された「ManhattanPortage」の文字を
要部とする標章が付されているものが存在すること。
 B 被告は,1985年(昭和60年)には,被告商品を米国国内で発行されたと認められる雑誌等に宣伝広告したが,被告商品は,1987年(昭和62年)1月,1988年(昭和63年)1月及び同年6月ころの3回にわたって,東京都文京区所在の「CHENG & SONS CO.LTD.」を通じて日本に輸入された。その各時期の輸入数量は,順に156個,210個及び100個であったこと。(原告は,この輸入された被告商品に被告標章が付されていたことを否認している。)
 C 審決の理由の要点(2)及び(3)に説示の理由により,本件結合商標と引用標章とは,いずれも「バッグ類」に使用するものであって外観及び称呼において類似するものであり,本件図形商標と引用標章のいずれもまた「バッグ類」に使用するものであって外観上類似するものであること。
 (2) 乙第13号証(審判乙第3号証)によれば,「Manufacturers of th JOHNPETERS」と題する商品カタログに,その表紙及び裏表紙に地色を赤色とした横長長方形内の中央部に,白抜きで描かれた高層ビル群の図形が描かれ,その図形の下部に同じく白抜きで書された「ManhattanPortage」の文字を要部とする次の標章が表示されていることが認められる。
 乙第13号証表紙標章
 このカタログには,引用標章とほぼ同じものとみられる標章(ただし,地色は緑色で,ManhattanPortageの文字の下に別の文字が白抜きで付されている。この文字は判読できない。)が付されているバッグの商品が掲載されている(型番1200〜1202,1304〜1307,1403S,L,1404,1405)。このカタログが本件各商標の登録出願前である1988年(昭和63年)10月以前に発行,頒布されたものであること自体は,原告も争っていない。上記の「JOHN PETERS」は被告代表者のPを表すものであるから,このカタログが被告が販売している商品についてのものであることは明らかである。
 そして,証拠によれば,1986年(昭和61年)にエベレスト登山を果たした登山隊は被告の援助を得ていたが,白抜きで描かれた高層ビル群の図形の下にManhattanPortageの文字が白抜きで書されたバッグを登山メンバーが示しているカラー写真について,被告はそのカタログに使用する権限が与えられたこと(乙第14号証の1,2),アメリカで刊行された1985年(昭和60年)8・9月号の雑誌「SHOWCASE」には,緑地に白抜きで描かれた高層ビル群の図形が描かれ,その図形の下部に同じく白抜きで書された「ManhattanPortage」の文字が書された標章を付したバッグが,被告の広告として掲載され,同様の図形と文字からなる標章による被告のバッグの広告は,1986年(昭和61年)よりも前から雑誌「SHOWCASE」に掲載されていたこと,同誌の発行部数は1987年(昭和62年)において1万5000部であったこと(乙第16号証,第1号証の1〜3),が認められる。
 (3) なお,乙第13号証のカタログの表紙等に記載された前記標章は,引用標章及び米国登録第2075388号商標と,同デザインの高層ビル群の下に描かれた同じ文字デザインに係る「ManhattanPortage」の文字が存するものとして構成の軌を一にするものであって,社会通念上同一の範囲の商標と認められるものである。したがって,被告が米国登録第2075388号の登録出願をするに際し,「使用開始」を1983年(昭和58年)4月25日と記載したについては,少なくとも乙第13号証のカタログ記載の時期に関してみれば,虚偽の事実に
基づいたものと認めることはできない。
 原告は,引用標章が本件各商標登録出願日より前に使用されていた事実はないと主張するが,引用標章は,上記米国登録商標や乙第13号証のカタログ表紙等に記載のある標章の中核となるものであり,被告は,1983年(昭和58年)にそのデザイン作成をデザイナーに依頼したと主張しているものである(乙第5号証)。前認定のように,上記米国登録商標や乙第13号証のカタログにおける標章が1983年(昭和58年)あるいは1988年(昭和63年)の10月以前に使用されていた事実を認めることができる以上,これらの中核をなす引用標章もそのころに使用されていたものと認めることができるのであり,原告の主張は理由がない。
 (4) 以上(1)〜(3)の認定事実によれば,引用標章は,本件各商標の登録出願前には,少なくとも米国内のバッグ類を取り扱う業界及び当該商品の需要者の間で広く認識されていたとの審決の認定判断に誤りはない。」としています。

 つまり、上記(1)〜(3)の事実から周知性を肯定しています。上記(1)では、具体的に、1.引用商標は米国特許商標庁への登録されているという事実。2.発行、頒布された商品カタログ。3.日本への製品輸入の事実。等が証拠として採用されています。
 上記(2)では、商品の雑誌への掲載広告の発行部数が、1万5000部であったこと。等が証拠として採用されています。

 日本への輸入の事実として、3回ほど実績があったようですが、月当たりの個数が少ないことが気になりました。具体的に、156個、210個、100個(製品はバック類)です。この点に関して、裁判所の判決文によれば、
 「引用標章が付されるバッグ等はいわゆる旅行通に好まれるものであることが認められ(乙第21号証),大量生産されるものではないと推認することができる。したがって,前記「SHOWCASE」のような,相当部数発行されているアイテム紹介誌に引用標章と図形を共通にし文字も基本的な部分において共通する商標が付されている商品が紹介されている以上,引用標章が付されるバッグ等の販売個数の多寡について認定するまでもなく,引用標章は米国内において周知となっていたものと認めるべきものである。」としています。

 つまり、商標が付されている商品、サービスの使用の実情を考慮して、大量生産される性質のものではなく、販売部数が少ないことは問題とならないとされたのでしょう。逆にいえば、これは例外的なものであり、大量生産される性質の商品等であれば、販売個数も問題になるのかもしれません。


                                              ページトップへ

                                             まとめ・余談

<まとめ・余談>
 外国で有名な商標が付された商品について国内で販売したいのですが、どうすればよいのでしょうかというご質問ががよくあります。
 このような場合、国内での当該商標の登録の有無がどうなっているのか?国内で登録されていなければ、外国の販売元との共同出願又は販売元から許可を得て出願等が必要となるでしょう。
 また、調査の結果、同様の商標がひょっとすると登録(登録商標A)されているかもしれません。登録が正当に行われている場合には、譲渡交渉、使用していなければ不使用取消等がありますが、本事例のように、4条1項19号による無効審判請求が可能か否かの検討がまず必要かもしれません。
 登録商標Aが、(イ) 外国で周知な他人の商標と同一又は類似の商標が我が国で登録されていないことを奇貨として、高額で買い取らせるために先取り的に出願したもの、又は外国の権利者の国内参入を阻止し若しくは代理店契約締結を強制する目的で出願したもの、
(ロ) 日本国内で全国的に知られている商標と同一又は類似の商標について、出所の混同のおそれまではなくても出所表示機能を稀釈化させたり、その名声等を毀損させる目的をもって出願したもの、であれば、登録商標Aを無効とすることが可能な場合があるからです。
 このような状況に当てはまる場合には、上記事例が参照例の一つとなります。

 最後に参考のために、4条1項19号の審査基準を紹介しておきます。(審査基準は、下記の特許庁ホームページで見ることができます。商標審査基準:URL:http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/kijun/kijun2/syouhyou_kijun.htm

 4条1項19号の審査基準の抜粋:

1.例えば、次のような商標は、本号の規定に該当するものとする。
(イ) 外国で周知な他人の商標と同一又は類似の商標が我が国で登録されていないことを奇貨として、高額で買い取らせるために先取り的に出願したもの、又は外国の権利者の国内参入を阻止し若しくは代理店契約締結を強制する目的で出願したもの。
(ロ) 日本国内で全国的に知られている商標と同一又は類似の商標について、出所の混同のおそれまではなくても出所表示機能を稀釈化させたり、その名声等を毀損させる目的をもって出願したもの。

2.本号でいう「需要者の間に広く認識されている商標」には、最終消費者まで広く認識されている商標のみならず、取引者の間に広く認識されている商標を含むものとする。

3.本号でいう「外国における需要者の間に広く認識されている商標」は、当該国において周知なことは必要であるが、必ずしも複数の国において周知であることを要しないものとする。また、我が国における周知性も要しないものとする。

4.「不正の目的」の認定にあたっては、例えば、以下の(イ)ないし(ヘ)に示すような資料が存する場合には、当該資料を充分勘案するものとする。
(イ) その他人の商標が需要者の間に広く知られている事実(使用時期、使用
範囲、使用頻度等)を示す資料
(ロ) その周知商標が造語よりなるものであるか、若しくは、構成上顕著な特徴を有するものであることを示す資料
(ハ) その周知商標の所有者が、我が国に進出する具体的計画(例えば、我が国への輸出、国内での販売等)を有している事実を示す資料
(ニ) その周知商標の所有者が近い将来、事業規模の拡大の計画(例えば、新規事業、新たな地域での事業の実施等)を有している事実を示す資料
(ホ) 出願人より、商標の買取り、代理店契約締結等の要求を受けている事実を示す資料
(ヘ) 出願人がその商標を使用した場合、その周知商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損させるおそれがあることを示す資料

5.本号の適用に当たっては、@及びAの要件を満たすような商標登録出願に係る商標については、他人の周知な商標を不正の目的をもって使用するものと推認して取り扱うものとする。
@ 一以上の外国において周知な商標又は日本国内で全国的に知られている商標と同一又は極めて類似するものであること。
A その周知な商標が造語よりなるものであるか、若しくは、構成上顕著な特徴を有するものであること。

6.周知性の認定に当たっては、この基準第3の八(第4条第1項第10号)の7.を準用する。
                                              ページトップへ


ホーム事務所概要業務内容弁理士紹介地図採用情報サイトマップお問い合わせ利用規約免責事項プライバシーポリシー特許特許戦略初級実用新案意匠商標 | 外国出願著作権制度 | 判例集よくある質問知的創造サイクル地球を守る技術| 法令集English リンク集

即時出張対応が可能なエリアは以下のとおりです

横浜市18区内:鶴見区・港北区・都筑区・青葉区・緑 区・神奈川区・西 区・ 中 区・ 保土ヶ谷区・ 瀬谷区・磯子区・金沢区・南 区・港南区・戸塚区・栄 区・泉 区
川崎市7区内:川崎区・中原区・高津区・多摩区・宮前区・麻生区
東京都27市:武蔵野市・三鷹市・西東京市・小金井市・国立市・国分寺市・立川市・調布市・府中市・八王子市・日野市・多摩市・狛江市・昭島市・東大和市・武蔵村山市・町田市・福生市・羽村市・あきる野市・青梅市・稲城市・東村山市・清瀬市・東久留米市等
東京都23区内:杉並区・練馬区・世田谷区・渋谷区・中野区・新宿区・豊島区・目黒区・港区・大田区・中央区・千代田区他

発明相談・特許調査・商標調査・知的財産コンサルティング・特許出願・実用新案登録出願・意匠登録出願・商標登録出願・PCT出願・マドプロ・外国出願の事なら坂野国際特許事務所へ
TEL : 045-227-5117 
FAX : 045-227-5118
Copyright (C) 2008 Sakano & Associates. All Rights Reserved.